1992 年 40 巻 3 号 p. 109-111
野外ケージで飼育され齢の明らかなエゾライチョウ9羽,標識により齢の明らかなハシボソガラス5羽を用い,下顎骨の外基礎層板に形成される層構造に基づいて齢査定を行なった.各標本の下顎骨を蟻酸(5%)で脱灰した後,厚さ10μの切片を作成,デラフィールドのヘマトキシリンで染色し,光学顕微鏡(100×)で検鏡し濃染色層の数を数えた.各個体について数枚を調べ,そのうち最も多い濃染色層の数と齢とを比較した.2種とも1歳未満の個体では下顎骨に外基礎層板は見られたが,濃染色層は見られなかった.1歳以上の個体ではすべて濃染色層が見られ,その数は越冬回数とよく対応した.骨に形成される層構造と齢との対応については否定的な見解もあるが,今回2種について調べた結果では層構造と齢はよく対応した.