札幌の中心街で越冬するムクドリの塒周辺で,1991から1993年にハヤブサが観察され,ムクドリを襲撃するのが観察された.塒の広告塔には捕食されたムクドリの頭や脚,翼が落ちていた,1993年3月にはハヤブサがムクドリを捕らえるのを観察し,番と考えられる2羽の存在を確認した,ムクドリはハヤブサの襲撃にも関わらず塒に強い執着を示し,1991-92と1992-93の両期とも,塒を放棄しなかった.ハヤブサが近くにいるときはムクドリは,広告塔のかげから塒入りし,より速い速度で飛行した.急降下や群が1カ所にかたまりあう行動も観察された.この事から,多くの個体が捕食者を避けて安全に塒入り出来れば,捕食者の存在は必ずしもムクドリの塒放棄にはつながらない事が明らかになった.近年,札幌周辺でもハヤブサの目撃が増えており,ムクドリの冬塒での捕食はこれからも続くことが予想される.