日本鳥学会誌
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抱卵コストはオオセグロカモメのクラッチサイズを制約するか?
高橋 康郎新妻 靖章帖地 美千代石川 宏治綿貫 豊
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1999 年 48 巻 2 号 p. 127-133

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抄録

カモメ属の一腹卵数は通常2~3卵である.本研究では,4卵を抱卵するコストが,オオセグロカモメの一腹卵数を制限する要因であるのかどうかを,抱卵数の操作実戟,卵温度及び親鳥の抱卵体温を測定することによって検証した.3卵を産卵した巣から1卵取り除いて2卵区,1卵加えて4卵区及び操作を行わないで3卵区を設けたところ,孵化率と孵化雛体重は,実戟区間で有意な差が見られなかったが,抱卵日数は,4卵区が2卵区や3卵区よりも1日長くなっていた.サーミスターを入れた温度測定用の卵を抱かせ,卵温度を測定したところ,2卵と3卵を抱卵しているときの卵温度は,それぞれ36.2±1.8°C,35.9±1.8°Cを示していたが,4卵を抱卵させた場合は,33.0±2.8°Cまで低下し4卵を効率よく抱卵できていなかった.したがって,オオセグロカモメは4卵を効率よく抱卵できていないが,それは孵化の成績や孵化雛の体重に強く影響するほどではない.

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