日本鳥学会誌
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奄美大島におけるオオトラツグミの営巣場所初確認及び繁殖行動の記録
Aleem Ahmed KHAN山口 恭弘
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2000 年 49 巻 3 号 p. 139-144

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抄録

1999年5月20日,奄美大島住用村神屋地区にてオオトラツグミの巣を一巣発見したので報告する.行動に関してはデジタルビデオを用いて5月21,23-26日の5日間,計1,348分の観察を行った.巣は住用ダムの東方約100mの渓谷林にあり,胸高直径0,63mのスダジイの枝に11.5mの高さに作られていた.巣はカップ状のほぼ円形で外径200mm,内径127mm,産座の深さ51•61mm,巣の厚さは58-75mmであった.巣の表面は大部分がコケで覆われており,小枝や小根が混じっていた.土台は小枝,泥,石で作られていた.観察調査中,オスは巣でメスに給餌しており,その間隔は平均61.27分であった.観察できた給餌物の95.45%はミミズであり,オスは一日に13-14匹のミミズを給餌していると推定された.メスの巣への滞在は総観察時間の82.27%であり,その間は常に抱卵していた,一方,オスの滞在は総観察時間の12,88%で,抱卵することはなかった.メスが巣にいない間,オスは巣の近くで警戒行動が見られた.オスメスともに巣にいなかったのは総観察時間の4.86%であった.

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