日本鳥学会誌
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ウ類の採食生態における個体変異
亀田 佳代子
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2004 年 53 巻 1 号 p. 11-21

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抄録

電波発信器,小型深度記録計,安定同位体比分析などの調査技術の発達により,海鳥類の採食生態に関する個体変異研究が可能となった.ウ類では,潜水深度,採食場所,食性,採食ハビタットなどの個体変異が報告されている.ウ類は主に単独で採食するが,場合によっては大きな採食集団を形成する.また,定住個体と季節移動を行う個体が同種内に存在することがある.一方各個体は,食物の利用可能性に応じて採食行動を柔軟に変化させる.このように,採食場所の特殊化と採食行動の柔軟性という二つの側面が,ウ類の採食生態の重要な特徴と考えられる.適切な組織の安定同位体比を分析することにより,ある時間断面におけるウ類の食物について,有益な情報を得ることができる.個体ベースの採食戦略や個体群動態の解明,そして保護管理における適切な対応策の検討には,ウ類の採食生態にみられる個体変異の決 定要因について,さらなる研究が必要であると考えられた.

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