2013 年 12 巻 3 号 p. 3_77-3_89
行政評価について、評価作業を担う職員がやらされ感や負担感を感じているという課題が指摘されているが、これへの対策を検討する際には、評価結果の活用の主体である地方自治体の職員にとって、評価が有効なものと感じられているかという視点を持つことも必要であると思われる。本論では、地方自治体の職員の職務遂行上の特徴を説明するものとして第一線職員研究に、行政評価の目的や仕組みのモデルケースとして事務事業評価にそれぞれ着目し、両者の特徴や仕組みを対比させることで、前述の視点から評価の有効性について理論上の検討を試みる。この検討により、事務事業評価が地方自治体の職員の職務遂行の特徴を必ずしも正確に把握できておらず、それゆえに地方自治体の職員にとって評価が有効とは感じられない可能性があることについて理論上の仮説を提示する。