国際開発分野で、開発効果に関する科学的に信頼性の高いエビデンスの欠如が著しいとの問題意識から、国際的に多数のインパクト評価が実施されてきた。特に過去10年間で評価や研究の実施数が急増し、信頼性の高いエビデンスは相当数整備されてきたと言える。その一方、評価結果の活用という点では改善の余地がある。
活用が十分でない背景として、これまで取り組まれた評価の多くは研究者によるものが多く政策判断への活用意図が弱かった、外的妥当性の課題を克服できていない、システマティックレビューも援助実務者のニーズに応えられていない、加えて、途上国の政策決定者や援助機関関係者の意識醸成も十分でないといったことが挙げられる。
国際開発分野において、エビデンスに基づく事業実施を推進するためには、JICAを含む援助機関はエビデンスの活用を実践し、好例を示していくことが必要である。