家族社会学研究
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現代日本社会を生きる主夫たちの男性性――8人の主夫のライフストーリーを手がかりに――
柳 煌碩
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2018 年 30 巻 1 号 p. 57-71

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抄録

本稿では,日本社会における規範的男性性から離れ,主夫という生き方を選択した8人の男性のライフストーリーを検討し,彼らの男性性がどのような葛藤・変容を経験し,再構築されていくのか,その過程を分析した.分析の結果,主夫たちは「日本型人事管理モデル(森口)」によって生じた諸トラブル(疾患型・非疾患型)を退職のきっかけとしていることがわかった.さらに,退職と主夫への転向を巡っては,妻の容認の仕方(全面的容認・部分的容認)が非常に重要な影響を及ぼしていること,それによって主夫たちの生き方(専業・兼業)と男性性の再構築の様相(男性性を巡る不安・主夫としての自覚)も異なっていることが明らかになった.最後に主夫への移行過程を「ヘゲモニックな男性性(R. W. コンネル)」の相対化過程として位置付け,その「相対化」の三つの側面(受動性と能動性の区別・妻が期待する男性性・日本型人事管理モデルの相対化)の重要性について考察を試みた.

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© 2018 日本家族社会学会
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