2018 年 30 巻 2 号 p. 197-203
本稿では,特集の目的と『家族社会学研究』の30年間の歴史を概観する.日本家族社会学会の歴史や研究動向の総括は,ほぼ10年ごとの節目に行われてきた.しかし,学会誌『家族社会学研究』については,これまでそうした総括が行われたことはない.その原因は,学会誌の基幹である投稿論文の査読審査が非公開であることだろう.しかし,日本の学会の動向はこの審査についても一定の情報は公開する方向にあり,それをめぐる議論が活発化している.本特集もこうした流れの中で,『家族社会学研究』刊行30年を記念して設定された.30年の歴史は,ほぼ10年ごとに初期・中期・それ以降に分けることができる.初期に編集と審査体制の基礎をつくり,中期には,年2号体制になって複雑化し増加した業務を効率良く体系化し,それ以降は情報公開や国際化の流れの中でそれらを継承してきた.この特集を契機に,学会誌の歴史を記録することへの関心が高まることを期待する.