家族社会学研究
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児童養護施設の日常生活において見られる「家庭」の内実――「普通のサイズ」と対応の判断基準に着目して――
三品 拓人
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2022 年 34 巻 1 号 p. 29-42

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抄録

本論文は,中規模の児童養護施設において何が「家庭的」であるのかということ,そして「家庭」がどのように参照されるのかということを,参与観察データから明らかにするものである.施設の小規模化や個別化を実現することにより達成されるとされる「当たり前の生活」という観点に注目した.その結果,児童養護施設において「家庭」が参照される場面として,次の2つの場面が見られることを提示した.1つ目は,「施設内で使われる物の大きさと形」である.例えば,ドレッシング,炊飯器,お風呂などの大きさが「普通の家庭」の大きさや形と比較され,職員がその適切性を問題視する場面があった.2つ目は,「施設における指導の判断の基準」である.例えば,子どもの体調が悪い時の対応,ポケットに手を突っ込んでいる時に注意をするかなどであった.以上のように,児童養護施設の日常生活において「家庭」が参照される一側面が明らかになった.

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© 2022 日本家族社会学会
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