家族社会学研究
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教育費負担の現状と機会不平等
田中 敬文
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キーワード: 教育支出, 学費, 機会不平等
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2001 年 12 巻 12-2 号 p. 175-183

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抄録

景気低迷により家計所得が減少するなか、教育支出はもはや「聖域」ではなくなった。『家計調査』により消費支出に占める学費総額の割合を求めると、世帯主年齢45~49歳で負担がピークに達する。学費に関する文部省調査も用いて消費支出に占める学費総額の割合を求めると、負担が最も重いのは私立大学であり、私立中学、私立高校、国立大学と続く。家計年収による学校種別在学者の割合を求めると、どの学校種別でも収入が高いほど在学者の割合も高くなり、しかも第V階級の割合の高さが際立っている。近年、国立大学家計の負担が重くなったといっても、それは25年前の私立大学家計がすでに体験していたことである。家計負担を軽減させ、教育機会の平等を実現するためには、家計に直接補助する政策が望ましい。また、学生本人が学費を借金により賄い、卒業後の労働により本人が返還するという案もある。

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