15 巻 (2003-2004) 2 号 p. 77-88
近年, 死に対する関心が高まっており, 死別後の家族課題の解決に向けて支援する社会集団が注目されている。しかし, これらの社会集団に関する研究は十分になされていない。本稿では, 遺族が, 配偶者との死別によって生じる諸課題を社会集団のなかでどのように表現し, その出来事の意味を変化させてゆくのかという問題意識のもと, 死別を経験した人たちによって形成された社会集団の活動と, 彼らに対するインタビューの内容について考察した。
その結果は, 次の2点に要約される。1) 死別した人びとは, 自らの経験を表現することを通じて, 配偶者との死別における家族ライフイベントとしての側面に言及する。2) 経験を語り合うなかで, 家族課題の共有化と家族ライフイベントの相対化がみられる。ここから, 家族との死別に関する語りの表現は, 死別後の社会関係を形成する「ツール」として有効であることが示唆された。