家族社会学研究
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社会的態度の家族内伝達
行動遺伝学的アプローチを用いて
敷島 千鶴安藤 寿康
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2004 年 16 巻 1 号 p. 12-20

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抄録

社会的態度の家族内伝達を媒介するのは専ら家庭環境か, それとも親子間の遺伝要因も関与しているのか。家族の凝集性は伝達に寄与しないか。本研究では一卵性双生児164組と二卵性双生児96組を用いて, 権威主義的伝統主義・集団同調性・自尊感情という3種の社会的態度の個人差に寄与する要因を解明し, 家族内伝達を媒介するものについて検討した。結果, 価値基準を伴う社会的態度である権威主義的伝統主義・集団同調性の伝達は, 家族の共有環境によって媒介され, 共有環境の寄与は家族の凝集性に依存することが明らかにされた。一方, 自尊感情の親子伝達は, 家族の遺伝的関係によって媒介されていることが示された。構造方程式モデリングを用いた行動遺伝学的解析を行うことにより, 伝達を家族の家庭環境と遺伝的関係という両側面から捉えた, 精緻な家族内伝達モデルの構築が可能となった。

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