1998 年 39 巻 2 号 論文ID: jjom.H09-35
愛媛県の炭疽病罹病リンゴ果実から菌叢が灰色でGlomerella cingulataの分生子に似た円筒形の分生子を混成する菌株が,また,千葉・新潟両県の同病罹病リンゴ果実から赤色を帯びる菌株が分離された.これらとColletotrichum acutatumおよびG. cingulataのリンゴ由来菌株との比較を行い,分生子と付着器の形態,生育速度およびベノミル感受性に基づいてそれらをいずれもC. acutatumと同定した.これにより,わが国では初めてC. acutatumの灰色系菌株がリンゴ炭疽病を起こすことを確認した.C. acutatumの接種によりリンゴに形成された病斑では分生子層が多数形成されたが,G. cingulataでは病斑の拡大は前者の場合に比べて速いものの,分生子層はほとんど形成されなかった.リンゴ由来以外の上記炭疽病菌2種によるリンゴ果実への接種試験の結果,C. acutatumでは13種,G. cingulataでは9種の植物が本病の伝染源宿主となり得ることが明らかとなった.