音楽教育学
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研究論文
戦後日本における教育用楽器の生産, 普及, 品質保証施策
―文部・商工 (通産) ・大蔵各省と楽器産業界の動向を中心に―
樫下 達也
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2015 年 45 巻 2 号 p. 1-12

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抄録

 本稿は, 戦後の教育用楽器の生産確保, およびその品質保証がどのように行なわれたのかを, 文部省と商工省 (1949年に通商産業省に改組), 大蔵省の各官庁と楽器産業界の動句に着目し, 明らかにしたものである。戦後, 器楽教育が全国規模で行われることになると, 文部省と楽器産業界は商工省に働きかけて楽器の資材を獲得し, 大蔵省からは楽器の物品税免税措置を得た。楽器が「教育用品」としての公益性を獲得することにより, 終戦直後の物資不足に喘ぐ楽器産業界は復興と発展の道筋を得た。また, 文部省は教育用楽器の品質を保証するために製品規格の制定と部品の標準化を進めた。部品の標準化は, 廉価でありながら品質が維持された製品を大量生産することを可能にした。戦後器楽教育の実施方針が打ち出された当初から, 楽器産業界は行政側の様々な施策のもとに発展し, 恵まれた物的環境をわが国の音楽教育の場にもたらしたのである。

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© 2015 日本音楽教育学会
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