音楽教育学
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研究論文
「ブロック作曲法」を用いた対位法の導入的実践
─ 高等学校芸術科音楽の授業における実践研究 ─
増田 建太
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2021 年 51 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

 対位法は, 西洋音楽の作曲における主要な技法であり, 創作の学習で扱うことは意義深い。しかし, 総合的な音楽能力を要求することから, 学校音楽教育における実践の可能性の検討は未だ十分ではない。ブロック作曲法とは, 筆者が考案した創作の教育方法であり, 音楽の要素の対比を利用して音符群同士の関係性を考察するものである。この作曲法は, 音を比較する視点を重視しているという点で, 対位法に繋がる性格を備えている。本稿では, 高校生を対象に現代音楽の様式の上でブロック作曲法の実践を行い, 学習者を対象とした事前・事後のアンケートを分析した。その結果, 音楽の要素の関係性に対する考察力と聴取力の向上を確認した。また, 生徒がつくった作品の中で模倣技法を扱うケースも見られ, 当実践が対位法に繋がる可能性を持つことも確認できた。以上の結果は, 学校音楽教育における対位法への導入としてのブロック作曲法の価値を示していると考えられる。

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© 2021 日本音楽教育学会
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