自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder: ASD)は,対人コミュニケーションの障害と限定された反復的な行動様式を主徴とする神経発達症群のひとつである.ASD者の就業上の問題の背景には認知機能障害が関連し,問題の背景にある認知機能の特徴を評価し,就労支援を行うことが肝要である.認知機能障害の視点から行動上の問題を評価するひとつの方法として,氷山モデルを活用したアセスメントが挙げられる.氷山モデルは行動観察に基づくアセスメントであり,「目に見える行動」に対して「目に見えない自閉症の特性」が影響を与えることを想定し,行動を認知機能の特徴から検討する.認知機能のアセスメントを通じてASD者にとって働きやすい就業環境を整え,就労面での成長を促していくことが望まれる.しかし,「できること」が増えるにつれ過剰な疲労につながり,ASD者の長期的な就労継続を阻害する点が指摘されている.今後,個人の心身疲労のメカニズムをどのように把握するかが課題である.