2025 年 33 巻 1 号 p. 42-45
今回のシンポジウムでは,デジタルヘルステクノロジ(DHT)の現状と課題,活用可能性について議論が行われた.特に,DHTを活用したメンタルヘルス支援の重要性と,ガイドライン策定に向けた科学的エビデンスの蓄積や現場ニーズへの対応が中心テーマとなった.産業保健分野におけるDHTの導入においては,エビデンスに基づく有効性やユーザビリティの確保が重視される一方で,費用対効果や効果測定方法といった課題が指摘された.また,脱落率や情報セキュリティの課題も議論された.今回の意見交換を通じて得られたステークホルダーの多様な視点を,DeLiGHT(Developing Minds-compliant guidelines for general preventive intervention using digital health technologies for mental health)プロジェクトのガイドラインに反映させる方針が示された.今後,迅速かつ柔軟な対応が可能な指針を策定することで,DHTを活用したメンタルヘルス支援の普及と質の向上が期待されている.