抄録
今回われわれは,口腔扁平苔癬(OLP)と臨床診断された患者135人を対象に,臨床的検討を行った。患者は男性30人,女性105人で男女比は1:3.5,平均年齢は60.7歳で好発年代は男女とも60歳代であった。最好発部位は固有頬粘膜(30.5%),次いで歯肉頬移行部(24.1%),歯肉(23.5%)であった。臨床視診型では,網状型とびらん型の混合型が最も多く(22.9%),次いでびらん型(21.3%),網状型(19.4%)であった。病理組織検査でOLPまたはOLP-compatibleと診断されたのは111例(82.1%)で,そのうち105症例に対して局所ステロイド療法を行った。治療によりコントロール不良の症例群では,良好な症例群と比較して多発性病変を有する症例が有意に多く,また網状・びらん型の混合型病変が有意に多く認められた。