日本口腔顔面痛学会雑誌
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総説
三叉神経痛の臨床症状による分類と微小血管減圧術の有効性
北原 功雄福島 孝徳
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2008 年 1 巻 1 号 p. 35-42

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抄録

目的: 三叉神経痛を臨床症状により3分類し, 国際頭痛分類 (ICHD-II) における三叉神経痛に対して, 微小血管減圧術 (micro vascular decompression) の有効性を報告する.
研究の選択: 三叉神経痛 (tic douloureux) を臨床症状により, 3分類する. Class I: typical classical trigeminal neuralgia. 発作性 (数秒) , 定型, 電撃様の鋭い痛み (持続性疼痛なし) で, トリガーゾーンを認め, テグレトールが有効である. Class II: atypical tic. 一部持続的鈍痛を含み, 痛みの領域が頭頂部に近い, 眼の奥など非典型的な分布を示す. 無感覚領域もある. Class III: atypical face pain syndrome. 持続的鈍痛が主体で群発頭痛, 上顎癌, 蓄膿症, sluder syndrome, 放射線治療後三叉神経痛 (三叉神経痛ガンマナイフ治療後) などの症候性疾患の可能性がある. 上記に分類し, 福島孝徳が施行した三叉神経痛に対する微小血管減圧術1910症例を中心に, 当院での経験をもとに三叉神経痛に対する脳神経外科領域の微小血管減圧術 (micro vascular decompression) の有効性を報告する. 三叉神経領域の痛みに対して, 治療法の選択に役立てば幸いである.
結果: Class Iは微小血管減圧術が施行されたのは全体の87%で, 完全治癒率96%. 血管の圧迫を認めなかったのが7%ある. 4%が半年から1年での再発を認め完全治癒に至っていない. Class IIは全体の13%で, 完全治癒率70%. 血管の圧迫を認めないか, 圧迫が不十分 (静脈圧迫が多い) で, 30%が再発を認めた. 血管圧迫のない場合でも, 三叉神経がねじれを生じていることが多いため, 手術は三叉神経周囲のくも膜を剥離し, 三叉神経のねじれを解消し, ステロイドの塗布を施行した. Class IIIは全体の1%以下で, 根本的に病態を異にしているため, 手術は禁忌であり当然治癒も認めない. 上記分類に対して, 補助的診断として神経の血管圧迫の所見を調べるのに, 画像学的には3.0テスラのMRIのsagittal, coronal像が有用であった.
結論: Tic douloureuxのClass Iについては, 微小血管減圧術が治療の第1選択であり, きわめて成績がよい. 高齢者で麻酔不可の場合は, 定位放射線治療 (サイバーナイフ治療) も考慮される. Class IIについては, 十分に臨床症状を検討し, 他の治療についても考慮すべきである. 神経血管減圧術施行を選択した場合, 経験の豊富な施設での手術が必須である. Class IIIは微小血管減圧術施行を施行すべきではない. ガンマナイフ治療後の持続的な鈍痛に関しては, 手術治療は期待できない.

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© 2008 日本口腔顔面痛学会
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