日本口腔顔面痛学会雑誌
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臨床論文
全身麻酔下埋伏智歯抜歯における術後鎮痛薬服用に影響する因子
由良 晋也
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2009 年 2 巻 1 号 p. 21-25

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抄録

目的:これまでに,全身麻酔下に複数の埋伏智歯を抜歯した後の疼痛発現に関係する因子を調査した報告は少ない.本研究の目的は,全身麻酔下に複数の埋伏智歯を抜歯した患者の鎮痛薬服用状況を調査し,鎮痛薬服用数に影響する因子を分析することである.
方法:対象は,全身麻酔下に複数の埋伏智歯を抜歯した70名である.術後痛発現状況については,術後24時間および72時間の鎮痛薬服用数を調査した.鎮痛薬服用数に影響する因子の分析に際しては,鎮痛薬服用数を従属変数,性別,年齢,抜歯歯数,手術時間,麻酔時間,フェンタニル投与量,手術翌日のCRPの7項目を独立変数として,重回帰分析を用いて解析した.
結果:70名中,鎮痛薬を服用した患者は66名(94.3%)であった.術後72時間以内の鎮痛薬服用数は,0錠から10錠(中央値6錠)であった.鎮痛薬服用数に影響する因子は,認められなかった.CRPを2変数(<2.0mg/dl,≥2.0mg/dl)として分析したところ,CRPレベルが高い患者において鎮痛薬服用数は有意に多かった.
結論:複数の埋伏智歯抜歯後には,72時間で最大10錠の鎮痛薬処方が必要である.特にCRP2.0mg/dl以上の患者には,多くの鎮痛薬が必要とされた.

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© 2009 日本口腔顔面痛学会
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