日本口腔顔面痛学会雑誌
Online ISSN : 1882-9333
Print ISSN : 1883-308X
ISSN-L : 1883-308X
依頼総説
OFPに必要な神経内科知識
今井 昇
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 7 巻 1 号 p. 35-38

詳細
抄録

口腔顔面痛(OFP)は歯科と医科の両方にまたがる分野であり,医科領域では神経血管性疼痛および神経因性疼痛に起因する神経内科疾患が多くを占める.これらを鑑別するためには,基本的な病歴聴取の技術,神経学的所見のとり方,OFPを来す医科疾患の特徴や診断基準について知識が必要となる.
しかし代表的疾患を単に記憶するだけでは表面的な知識に留まり,実際の診断には役立たない.神経内科医は,3次ニューロンまで含めた三叉神経についての解剖学的知識,脳内での疼痛発生および疼痛抑制機序,神経伝達物質を代表とする生化学的知識,遺伝子学的知識などを動員して,病態から各疾患を鑑別し診断を行っている.
OFPを起こす代表的な医科疾患には,片頭痛,群発頭痛があり,これらの頭痛は三叉神経だけではなく脳内での異常が生理的および機能的画像検査で明らかにされている.また,慢性頭痛では脳の機能的・解剖学的・化学的変化が起こっており,更に慢性化から離脱しても脳の機能変化が残存して再度悪化しやすい状態にある.慢性化した OFP でも同様な機能変化が生じていると推測されることより,治療する際は脳内の変化を考え,再燃しやすいことに留意すべきである.OFP専門医がこのようなOPF関連の医科疾患の最新の知識を習得するには日本頭痛学会への参加が有用である.

著者関連情報
© 2014 日本口腔顔面痛学会
前の記事 次の記事
feedback
Top