日本口腔顔面痛学会雑誌
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依頼総説
OFPに必要な精神科知識
宮地 英雄
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2014 年 7 巻 1 号 p. 45-48

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抄録

原因のはっきりしない痛みを呈する患者を診たとき、精神的側面を考慮することになるが、その関与のしかたはさまざまなパターンがある。精神面が関与する身体症状は、評価、対応、治療が難しくなる。鑑別、診断していくには、他覚所見の有無と、その所見がどの程度痛みを説明し得るかを多面的に考えることが有効と考える。ただしその所見と症状がどの程度見合うかの判断、特に所見が明確に存在しない時の判断は困難となる。日頃いかに典型例を診ているかということが重要であり、ケースカンファレンスなどを活用し、判断基準を共有することなどが有用と考える。
痛みに関連する精神疾患として、2013年6月に改訂された DSM-5 に身体症状症という診断名が登場した。そのほか考慮すべき精神疾患としては、統合失調症、セネストパチー、気分障害(うつ病)、などが挙げられる。この様な「精神的問題」が関与している痛みの対応は、主訴に沿った判断・対応が無難である。必要だができないことは連携が重要である。連携については、①侵襲的対応の有効性の見極め、②十分なインフォームドコンセント、③丸投げしない連携、などがポイントである。治療やケースワークがなかなか進まない痛みを呈している患者とは、「付き合っていく」ということも選択肢である。身体症状を初診で診る医師の言葉は非常に重い。安易な説明や保証はのちの治療関係に大きく影響することがあるため、注意するべきである。

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© 2014 日本口腔顔面痛学会
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