日本生理人類学会誌
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大阪市における家庭内の救急事故の実態
延原 理恵平井 清美宮野 道雄
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2004 年 9 巻 4 号 p. 167-171

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抄録

平成12年人口動態統計1)2)によると、日本ではこの年の「家庭における不慮の事故」を死因とする死亡者数は11,155人であった。その主な死因は「転倒、転落亅、「不慮の溺死及び溺水」、「不慮の窒息」、「煙、火及び火災への曝露」などであり、その被害者の多くは高齢者で、75.1%を65歳以上が占めている。平成12年の国勢調査によれば、大阪市の人口は2,598,774人で、このうち65歳以上人口は444,740人であり17.1%を占めている。65歳以上の人がいる世帯は325,168世帯で、このうち、ひとり暮らしは33.7%、夫婦のみ世帯は28.0%で、合わせると61.7%を占める.これは、全国平均(46.6%)よりもかなり高い比率を示しており、災害への対応力が弱い高齢世帯を支援する体制がさらに求められる。今後も高齢化は進展し、高齢者のみの世帯が増加することが予測されている。また、介護保険制度の導入や医療保険制度の改定によって、在宅化が推進され、介護や医療を必要とする在宅虚弱高齢者が増加している。

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© 2004 日本生理人類学会
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