薬剤疫学
Online ISSN : 1882-790X
Print ISSN : 1342-0445
ISSN-L : 1342-0445
企画/PMDA の自発報告データベースの新たな活用と今後の課題
2. 自殺または糖尿病関連副作用における各種インターフェロン製剤間の発現時期プロファイルの比較
山田 雅之半田 淳
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 19 巻 1 号 p. 23-30

詳細
抄録

医薬品副作用データベース(英名: Japanese Adverse Drug Event Report database,略称; JADER)が,2012年4月に公開され,医薬品の適正使用情報としての活用が期待されている.本論文では,副作用発現時期の新たな評価方法として,副作用発現日を Weibull 分布にあてはめて推定した形状パラメータによる発現時期プロファイルの分析を取り上げ,自殺関連または糖尿病関連副作用のインターフェロン製剤間の違いを検討した.2013年8月の JADER から重複を除いた薬剤と副作用の組合せ件数 702,925 件のデータを用いた.自殺関連または糖尿病関連副作用は,PRR 等でシグナルと判断された.糖尿病関連副作用は,製剤間で副作用発現時期の分布が異なり,Weibull 分布の形状パラメータは,α 製剤では1.49(1.09-1.94)(点推定値および両側 95%信頼区間)と下側 95%信頼区間が有意に 1 を超え,摩耗故障型副作用時期プロファイルが示唆された.β 製剤では 0.84(0.66-1.05)と上側 95%信頼区間が 1 をわずかに上回るため初期故障型に近く,ペグ製剤 は,1.07(0.92-1.23)と点推定値はほぼ 1 であることから偶発故障型と考えられた.自殺関連副作用では,副作用発現時期の分布は製剤間で類似しており,形状パラメータはいずれの製剤も,点推定値は 0.89~1.01,95%信頼区間が 1 を含むことから副作用発現時期プロファイルは偶発故障型と判断された.この情報に,ヒストグラムや箱ひげ図などのグラフ表示による視覚的評価を併用することで,より具体的な安全性監視対策を検討することが可能となり,本評価方法は有用であると考えられた.

著者関連情報
© 2014 日本薬剤疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top