1971 年 16 巻 3 号 p. 163-169
基礎運動能力の発達は体育の一目標であるが,その能力の実体は充分明らかでなく,それを明らかにする為の組テストもあまりないので,本研究では基礎運動能力組テストの作成を試みた. Larsonは運動能力の仮説的構造を発表しているが,そこにおける運動能力の各領域の測定に有効な17のテスト項目を選び,高校女子生徒382名を抽出して標本とした.まず,17変数のcorrelation matrixを作り,これにprincipal factor analysisを適用して5つの因子を抽出した.そのうち最大の固有値をもつ第1因子は,約30%の貢献度をもち,総ての変数と有意の相関をもっているので,この因子を基礎運動能力因子と解釈した.次に,この基礎運動能力の測定の為にテスト項目を種々組み合わせて12組のテストを作成したが,テストの精度と実用性よりXIIの組テストが最良のものであつた.尚,これらの組テストを使って基礎運動能力を量的に表現し,評価に都合のよいように基礎運動能力推定公式をも作成した.