1972 年 17 巻 2 号 p. 97-103
静的あるいはアイソメトリックな筋力と運動のスピードあるいは運動中の筋力との間に成立する相関は低いとされている. しかしこのことが果して更に瞬発的な筋力についてもそうであるかどうか疑問であると思われる. 又, 運動中の動的筋力と運動速度, および静的筋力と運動速度の間に果して一般的な高い関係があるかどうかも不明である. 本研究はこの点に着目し, 動的筋力テスト項目を加え従来の結果と比較したものである. すなわち, (1)衝突的筋力(Impact Strength), (2)衝撃的筋力(Impulse Strength), (3)二種類の瞬発筋力 結果は静的筋力と反応時間および運動速度の低相関は, 又更に動的な筋力についてもそうであり, 個人の静的動的筋力テストの結果によって, その人の反応時間や運動スピードを予測したり評価することができないことが判明した. すなわちヘンリーの"記憶のドラム"理論を支持すべきである事が結論された.