わが国の研究者が, 国際学会に出かけて発表したキネシオロジー研究は14になるが, そのうち12は, この3年間に若い人々によって行なわれた. 海外の研究者との交流も多くなった. 将来に大きい希望が見える. 日本におけるキネシオロジー的研究の歴史は新しいものではなく1920年以来,これに関した書物が, かなり沢山出版されている. 日本体育学会の中にキネシオロジー研究会が生れたのは1957年であるが, 毎年の学会で発表されたものは682になり, 本誌に掲載された論文も83である. この論文を中心にして, わが国のキネシオロジー研究をかえりみると, 初期には姿勢に関する研究, 写真や映画による運動軌跡から動きを研究したものが多くあったが, 運動に関する種々の物理量の測定を電気変化として行う方法がとりいれられて, 力・速度・パワーなどが身体運動との関係において吟味され動作分析が進められるようになった, 特に筋電図を用いて筋力の発生, 力の伝達そして作用の機構が分析・研究されるようになり, 最近は放電量の積分計も活用され, 筋電図的研究の範囲が拡張されてきた. 一方テレメーターの利用によって測定研究の自由度が増してきた. 1972年7月名古屋市でFirst National Kinesiology Seminarが開かれKinesiological Studies of Human PowerをMain Themeとして100人の会員が1日は研究討論に, 1日はKinesiology研究のための種々の機械, 器具につき実習し, 筋電図によるKinesiology研究, Computer System, Photographyおよび, Electronicsを応用した種々の測定器の作り方について勉強した. Kinesiology研究の飛躍的発展を念じての催であった.