体育学研究
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アルコールの反応時間および動作時間におよぼす影響
麓 信義宮下 充正
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1976 年 21 巻 4 号 p. 225-230

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抄録

手指の反応時間および動作時間におよぼすアルコールの影讐を検討した. 動作は, 光刺数に反応し, 1つのスイッチから30cm離れたもう1つのスイッチまで右手を動かすことであった. 9名の男子被験者(21〜26歳)は, 平常時とアルコール摂取(アルコール分43%のウイスキーを体重当り2ml)1時間後の2回, 105試行を行った(ただし, 4名は70試行). 試行は1分間に7回行い, その後に1分間の休憩をはさんで続けられた. 結果は以下のとおりであった. 反応・動作時間に対するアルコールの影響には, 大きな個人差がみられた. (1)9名の平均値は,反応・動作時間ともアルコール摂取の有無による有意差を示さなかったが, 平常時に比較的パフォーマンスの悪かった者は, アルコール摂取時に, 両時間の値が短縮した. (2)3名の被験者で, アルコール摂取時の反応時間の平均値が, 平常時に比べて16msec以上短絡し, 2名の被験者では, 反対に21msec以上延長した. 一般に考えられている ことと反対に, 3名の被験者については, 反応時間のバラツキが, アルコール摂取時により小さくなった. (3)動作時間の平均値は, アルコール摂取時に, 5名の被験者で平常時より10msec以上短縮し, 2名の被験者では, 反対に10msec以上延長した.

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© 1976 一般社団法人 日本体育学会
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