体育学研究
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下肢のバリスティックな伸張-短縮サイクル運動の遂行能力からみた槍投げ競技者の体力特性
田内 健二尹 聖鎮栗山 佳也高松 薫
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2002 年 47 巻 6 号 p. 569-577

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抄録

本研究では,下肢のバリスティックな伸張-短縮サイクル運動の遂行能力からみた槍投げ競技者の体力特性を明らかにするために,幅広い競技レベル(55.92m-78.64m)を有する槍投げ競技者14名(JT群),その他の投擲競技者10名(OT群)および跳躍競技者12名(J群)を対象にして,30cmの台高から落下し即座に跳び上がるリバウンドドロップジャンプ(RDJ)を行わせた.下肢のバリスティックな伸張-短縮サイクル運動の遂行能力の評価には,図子ほか(1993)が提案したRDJ-indexを用いた.なお,RDJ-indexはRDJにおける滞空時間から求めた跳躍高を接地時間で除すことによって算出される指標である.本研究の主な結果は,次の通りである.(1)JT群におけるRDJ-indexはJ群と比較して有意に低値を示したが,OT群と比較して有意に高値を示した.(2)JT群の接地時間はJ群とほぼ同様の値であり,滞空時間はOT群とほぼ同様の値であった.(3)JT群における自己記録と接地時間との間には有意な相関関係は認められなかったが,滞空時間およびRDJ-indexとの間には有意な正の相関関係が認められた.本研究の結果は,槍投げ競技者における下肢のバリスティックな伸張-短縮サイクル運動の遂行能力は,跳躍競技者とその他の投擲競技者の中間に位置づけられること,およびRDJ-indexによって評価される下肢の爆発的なパワー発揮能力が,槍投げの競技成績を高めるための必要条件になり得る可能性のあることを示唆するものである.

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© 2002 一般社団法人 日本体育学会
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