日本小児血液学会雑誌
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骨髄移植後の回復が遷延した再生不良性貧血の1例
近藤 達郎楠山 美佐子中山 雅彦上玉利 彰松本 和博松本 正辻 芳郎松山 孝治
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1996 年 10 巻 6 号 p. 438-441

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抄録

重症再生不良性貧血で諸治療に不応性で頻回の輸血に頼らざるを得なかった患者で骨髄移植を試みた.移植前の総輸血量は34,600mlであった.前処置としてはCY, TH, TBIを施行した.移植後, 骨髄細胞が3系統とも回復するのに約10カ月要した.骨髄細胞が生着しているか, キメラになっていないかを確認するため家族の末梢血および患者の毛根細胞より抽出したDNAを用いて多型検索を行った.結果はすべてドナータイプに移行していた.骨髄移植後の骨髄細胞回復の遷延の原因として (1) BMT自体は成功していたが, 長期間の治療による微小環境の荒廃の改善に時間がかかった, (2) BMT後ドナータイプとレシピエントのキメラ状態が続き, それがドナータイプへ移行するのに時間がかかった, (3) その両方, の可能性が考えられる.

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