日本小児血液学会雑誌
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同種骨髄移植後にロタウイルスと大腸菌の混合感染を契機に溶血性尿毒症症候群を合併したPh1陽性ALLの1例
武田 千賀子麦島 秀雄高村 まゆみ島田 俊明陳 基明藤沢 孝人原田 研介
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1996 年 10 巻 6 号 p. 448-451

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抄録

同種骨髄移植後5カ月目に溶血性尿毒症症候群 (HUS) を合併した非定型philadelphia染色体陽性ALLの患児を経験したので報告する.症例は2歳9カ月の女児, 1歳9カ月時に診断され第2完全寛解期にHLA一致, MLC陰性の5歳の同胞女児より同種骨髄移植を施行した.移植後142日目に食欲不振, 発熱, 白色水様便, 眼瞼浮腫, 血尿を認め血液検査では赤血球数346万/μl, Hb9.59/dl, 網状赤血球18%, 赤血球の形態異常も認めた.またLDH 513 IU/l, BUN 28.1mg/dlと軽度上昇しhaptoglobinは10mg/dl以下であった.尿所見では蛋白 (+), 潜血 (2+), でHUSと診断した.便中のロタウイルス抗原は陽性で便培養では病原性大腸菌は検出されなかったが血清のVT抗体が陽性であったことなどから自験例のHUSの誘因としてはロタウイルス感染とVT産生大腸菌との混合感染が最も疑われた.

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