日本小児血液学会雑誌
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小児AMLの移植前処置薬としてのメルファランならびに移植後G-CSFの有用性の検討
河 敬世八木 啓子井上 雅美松山 孝治岡村 純土田 昌宏堀部 敬三石川 順一花田 良二江口 春彦沖本 由理石井 栄三郎石井 栄一
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2000 年 14 巻 5 号 p. 298-305

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抄録

小児AMLの造血幹細胞移植の前処置薬としてのメルファランならびに移植後のG-CSFの有用性を検討する目的で多施設共同研究を行った.1994年9月から1996年12月までに評価可能な68例 (20歳未満) が登録された.第1寛解期の標準リスク46例の内訳は同種移植29 (血縁27, 非血縁2), 自家移植17 (骨髄14, 末梢血3) ですべてBu (16mg/kg) +メルファラン (180~210mg/m2) の前処置で, 第2寛解期以降の22例 (ハイリスク) はTBI+メルファラン+etoposide, orBu, orthiotepaのいずれかの組み合わせで治療された.3年の無病生存率は標準リスクで73.5%, ハイリスクは36.4%であった.副作用は標準リスク群では問題にならなかったが, ハイリスク群では重症の粘膜障害 (40.8%) と肝中心静脈閉塞症 (18.2%) がみられた.重症の腎障害はみられなかった.GCSFの計画的投与群 (14例が1時間静注, 17例が24時間持続点滴) では移植後3日または5日から300μg/m2を投与され, 残りの34例は必要時 (非計画的) に投与された.G-CSFの1時間と24時間投与では, 穎粒球の回復スピードに差はみられなかったが, 計画的投与群と非計画的投与群を比較すると前者で優位に回復が早かった.さらに無病生存率をみると計画的投与群が優位に非計画的投与群より勝っていた.以上から, 前処置薬としてのメルファランならびに移植後のG-CSF投与は, 小児AMLの治療上有用であることが明らかにされた.

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