2000 年 14 巻 6 号 p. 398-403
全身倦怠感を主訴とし, 巨大脾と白血球数増多 (25×104/μl) を認め, 慢性骨髄性白血病 (CML) 移行期と診断した14歳男児をハイドロキシウレア (HU) とインターフェロンα (IFNα : 600×104IU×6/week) で治療し, 血液学的寛解を得たが, 細胞遺伝学的完全寛解には至らなかった.治療10カ月後より, 蛋白尿の出現, Creの上昇がみられ, IFNαを減量した.その後約1年後に多量の蛋白尿 (1.5g/day) と強い腎機能低下 (Ccr : 16ml/min) を認め, IFNαを中止した.腎機能は徐々に回復したが, 少量の蛋白尿と血清Creの比較的高値が続くため, 腎生検を施行した.光顕標本では腎糸球体の約半数に全硬化像を認め, 硬化像のない糸球体では, 係蹄壁の肥厚と不整を認めた.尿細管の萎縮および間質への単核細胞の浸潤も散在性に認めた.免疫染色では内皮下およびメサンギウム領域にC3C, IgMの沈着を認め, 免疫複合体が腎糸球体に傷害を与えた可能性が示唆された.