抄録
弘前大学小児科およびその関連施設において, 1994~1998年に経験した19例の小児再発リンパ球系悪性腫瘍に対して, ALL-REZ BFM87を用いて治療した成績について報告した.19例のうち, 12例が再寛解に導入された (再寛解導入率63.2%).寛解導入された12例が,BFMプロトコールの強化療法により寛解を維持した.2例が強化療法中に治療開始後6カ月, 10カ月で再発した.10例が寛解中に造血幹細胞移植を受けたが, 6例が再発した.無病生存は4例であった.1年および3年生存率は, それぞれ63.2%, 31.6%, l年および3年無病生存率は, それぞれ52.6%, 19.7%であった.BFMプロトコールは再寛解導入率も良好で, 有用な治療法であると思われたが, 早期・超早期骨髄再発などの予後不良例には, とくに寛解導入不能が問題となった.これらの症例には, さらに強力な再寛解導入療法が必要であると考えられた.また, 再寛解に導入できても, 化学療法のみで寛解を維持できた症例はなく, 3年生存率は低値であったことも問題である.これらの再発した患者に対しては, 寛解導入後早期に造血幹細胞移植を行うことにより, さらに予後を改善することが可能であると考えられた.