日本小児血液学会雑誌
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Major ABO不適合骨髄移植後に発症した赤芽球〓の1例
陳 基明麦島 秀雄山田 亜古七野 浩之島田 俊明鈴木 孝原田 研介
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2001 年 15 巻 3 号 p. 169-173

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抄録

13歳, 女児.1997年6月, 急性リンパ性白血病と診断され, 1998年10月, HLA一致の兄よりMajorABO不適合骨髄移植を受けた (患児;O Rh D (+), 提供者 : ARhD (+)).移植片対宿主病 (GVHD) 予防は, 短期メソトレキセート+シクロスポリンを用いた.血液学的回復は, 好中球と血小板の回復は良好であったが, 赤芽球系の回復は遅延した.貧血が改善しないため, prednisolone l5 mg/dayを使用したが効果なく, day 87にヘモグロビン血色素量 (Hb) 5.3g/dl, 網状赤血球数 (Ret) 3‰, 骨髄所見でME比21.5と赤芽球系の著減を認め, 赤芽球〓 (PRCA) と診断した.Day 95よりmethyl-prednisolone 20mg/kgを開始したが, 翌日, 肝機能が増悪したため中止した.Day l24にRet 94‰, day 138にHb 11.8g/dl, Ret 30‰と正常化した.抗A凝集素価はday 87に128倍であったが, dayl 38には1倍と低下していたため, PRCAの発症に抗A凝集素の関与が考えられた.患児 : ORhD (+), 提供者 : ARhD (+) の移植の際には, 移植後のPRCA発症を念頭におき, PRCAの治療開始時期, 治療法について検討する必要があると考えた.

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