日本小児血液学会雑誌
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頑固な腹痛と痙攣が皮疹に先行した骨髄移植後水痘帯状疱疹ウイルス再活性化の1例
金澤 崇溝口 史剛外松 学小川 千登世金子 浩章友政 剛森川 昭廣
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2001 年 15 巻 3 号 p. 202-205

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抄録

骨髄移植後に頑固な腹痛と全身痙攣にて発症した水痘帯状疱疹ウイルス (VZV) 再活性化の13歳男子例を経験した.患者は12歳時に急性リンパ性白血病を発症.第1寛解期にHLA一致同胞間骨髄移植が施行された.慢性移植片対宿主病のため, cyclosporin, prednisoloneにて治療されていた.移植後6カ月時に強い上腹部痛が出現, H2-blockerやpentazocineは無効であった.腹痛出現後第3病日に全身痙攣出現.頭部MRIT2強調画像にて大脳鎌付近に不定形の高信号域が認められた.上部消化管内視鏡ではびらん性食道炎, 胃炎が認められた.第4病日に全身に水疱が出現し, VZV再活性化と診断し, acyclovirを開始した.その後, 症状は速やかに消失した.検査上, VZV抗体価が上昇し, 消化管粘膜組織のVZVDNA (PCR法) が陽性であった.全身性VZV再活性化は発症時には発疹を認めないことがある.致命率も高く, 注意すべき合併症と考えられた.

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