日本小児血液学会雑誌
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小児造血器悪性腫瘍の診断におけるCD45/SSCgating法の有用性と危険性
合井 久美子杉田 完爾犬飼 岳史手塚 徹宇野 佳奈子佐藤 広樹根本 篤高橋 和也中澤 眞平
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2001 年 15 巻 6 号 p. 457-463

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抄録

CD45/SSC (CD45low/SSClow) gating法を用いて, 病初期に骨髄中の芽球比率が低かった小児悪性腫瘍5症例において腫瘍細胞の表面抗原を解析した.4症例 (ALL 2例, MDS 1例, NHL 1例) は初診時と最終診断時における解析結果が一致した.しかし, 本法でB細胞型悪性リンパ腫の骨髄浸潤とした1症例の最終診断はCD45陰性の神経芽腫であった.本症例で診断が異なった原因を明らかにするため, 完全寛解中の小児悪性腫瘍患者10症例の骨髄検体で, CD45low/SSClow分画にgatingされる細胞集団の表面抗原を解析した.約10%の骨髄細胞がgatingされ, CD10, CD19, HLA-DRが強陽性, CD20, CD34, CD33が弱陽性のB-cell precursorの表現型を示した.本法を用いた表面抗原解析は, 造血器悪性腫瘍の診断に有益な検査法であるが, その有用性と危険性をよく理解する必要がある.

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