日本小児血液学会雑誌
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小児ランゲルハンス細胞組織球症に対する多施設共同治療研究
プロトコールJLSG-96による治療成績
生嶋 聡衣川 直子日比 成美石井 榮一上田 一博圀府寺 美迫 正廣藤本 純一郎森本 哲別所 文雄堀部 敬三今宿 晋作
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2002 年 16 巻 3 号 p. 135-142

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抄録

多病変ランゲルハンス細胞組織球症 (Langerhans cell histiocytosis : LCH) に対する多施設共同治療研究の結果を報告する.1996年6月~2001年2月までに登録されプロトコールJLSG-96で治療された症例 (新規症例78例, 既治療症例12例) の解析を行った.追跡期間は中央値22.8カ月 (範囲4.7~58カ月) であった.新規症例 (33例はSM型, 45例はMM型LCH) に対する標準的寛解導入・維持療法であるプロトコールAでのSM型症例の寛解率は97%, 再発率30%, Kaplan-Meier解析による推定4年無病生存率は68%, 推定4年生存率は100%であった.尿崩症は1例にみられ, 発症率は3%であった.同様にプロトコールAでのMM型症例の寛解率は51%, 再発率22%, 推定4年無病生存率は34%であった.死亡例は1例のみで推定4年生存率は97.5%であった.尿崩症は6例に認められ, 発症率は13%であった.既治療・再発/難治の40症例 (12例の既治療例と新規症例でプロトコールAに対しNR/PDであった17例およびCR後再発した11例を含む.9例はSM型, 31例はMM型) に対するサルベージ療法としてのプロトコールBでの寛解導入率は, SM型およびMM型において各々100, 42%であった.ヨーロッパでの大規模スタディによる治療成績と比較すると寛解導入率はSM型, MM型LCHともほぼ同様であったが, SM型では再発率が高く, 一方, 全体の死亡率は2%と有意に低値であった.

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