日本小児血液学会雑誌
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シクロスポリンとダナゾール併用療法中に播種性血管内血液凝固をきたした再生不良性貧血の女児例
多賀 崇赤堀 史絵河原 敦加藤 博文鈴木 淳史太田 茂竹内 義博
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2002 年 16 巻 3 号 p. 152-155

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抄録

シクロスポリンとdanazolの併用療法中に播種性血管内血液凝固 (DIC) をきたした再生不良性貧血の8歳女児例を報告した.患児は再生不良性貧血と診断後, シクロスポリンと2回の抗胸腺グロブリンによる治療を受けたが無効で, シクロスポリンに加えdanazolの投与が開始された.Danazol開始4ヵ月後, 患児は著明な出血傾向のために入院となった.血液検査で血小板数ならびフィブリノゲンの減少と, FDPの増加を認めた.ダルテパリンナトリウム, メシル酸ナファモスタットとFFPの投与によって, 臨床症状ならびに血液所見は改善した.しかし, その2週間後, 再び著明な出血傾向と凝固検査の悪化がみられたため, シクロスポリンとdanazolを中止するとともにダルテパリンナトリウムとメシル酸ナファモスタットを投与したところ, 速やかに臨床症状と検査所見は改善した.患児はその後DICをきたすことなく元気にしており, DICの7カ月後に非血縁骨髄移植を受けた.

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