日本小児血液学会雑誌
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ドキソルビシン耐性白血病細胞株に対するマイクロアレイ法による遺伝子発現解析
浅野 健蔡 霊芝早川 潤福永 慶隆
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2003 年 17 巻 5 号 p. 340-345

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抄録

白血病治療において薬剤耐性は克服すべき大きな問題である.今回われわれは薬剤耐性機構の解明のためマイクロアレイ法を用いて発現遺伝子の解析を行った.使用した細胞株はK562で, ドキソルビシンを培養液中に加えることによりドキソルビシン耐性細胞株を作製した.いずれの細胞株もドキソルビシンのほか, ビンクリスチンに対しても高度の交叉耐性を示した.MDR蛋白の細胞表面における発現は耐性細胞株において高発現を示した.マイクロアレイ法にて想起していなかった遺伝子の発現変化が耐性株で認められた.さらにドキソルビシンを親株に添加し, それによって変動する遺伝子群の検討も行い, 耐性株で増強をみた遺伝子発現との比較を行った.そのなかで, cyclooxygenase-1とheat shock protein 90 kDaはK562/ADM細胞, 8時間のドキソルビシン処理後のK562/P細胞で発現がK562/P細胞 (未処理) に比べてマイクロアレイ法, ノーザンプロット法にて増加していた.マイクロアレイ法は薬剤耐性の新しいメカニズムを解明するのに有用であると考えられた.

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