2003 年 17 巻 5 号 p. 399-401
特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) による出血は表在性が多い.一方, 出血性卵巣嚢胞は婦人科領域の急性腹症の一つであるが, 腹腔内出血に進展することはまれである.今回, 黄体期に著しい血小板減少が重なり, 出血性卵巣嚢胞から大量の腹腔内出血をきたした慢性血小板減少性紫斑病 (chronic ITP) を経験したので報告する.血小板が減少している思春期女児の腹痛をみたときには卵巣出血も念頭におく必要があると考えられた.また, 卵巣出血は繰り返すことが多く, 今後も注意深い観察が必要である.