日本小児血液学会雑誌
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抗D抗体投与を試みた原発性免疫不全症に合併した難治性ITPの1女児例
池宮 美佐子倭 和美
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2003 年 17 巻 5 号 p. 424-427

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抄録

原発性免疫不全症 (CD4陽性細胞減少症) のフォロー中にITPを発症した5歳の1女児例を経験したので報告する.ITPに対して標準的治療であるステロイドと大量ガンマグロブリン療法を施行したが, 難治症例であった.ステロイドやその他の免疫抑制剤や摘脾は免疫不全状態の患者にとって, さらなる免疫抑制により感染のリスクを高めることになる.欧米では, 抗D抗体はITPの標準的治療の一つであり, 免疫抑制作用はない.またHIV関連ITP患者においても, 効果が認められている.そこで本例に抗D抗体を試みたが, 効果は一過性であった.現在日本では, 抗D抗体の投与はほとんど行われていないが, その効果, 安全性, 免疫抑制作用のないこと, そしてコストが低いことなどから, わが国でも検討する価値があるように思われる.

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