日本小児血液学会雑誌
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血液・腫瘍疾患におけるL-asparaginaseの有効性
鬼頭 敏幸
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2003 年 17 巻 6 号 p. 449-460

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抄録

Asparagine synthetase (AS) は細胞内でasparagineを合成する酵素であり, L-asparaginase (ASNase) の作用に拮抗する反応に関与する酵素である.AS発現の程度とASNase感受性との逆相関の関係を考察した.この酵素活性が低下している腫瘍を検索できれば, 実際にASNaseを使用しての臨床効果が予想されると考え, ヒトASに対するモノクローナル抗体を用いた免疫染色法 (AS免疫染色法) を確立した.この方法によりAS低発現と判定できる症例ではASNase投与が有効である可能性が強く示唆される.この方法を含めて, 急性骨髄性白血病症例の一部, NK細胞関連腫瘍にASNase高感受性例が存在することが明らかになり, これらの疾患に加えて, 悪性黒色腫や多発性骨髄腫に対して, 臨床使用が始められている.

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