日本小児血液学会雑誌
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日本における小児特発性再生不良性貧血の現状
小原 明
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2003 年 17 巻 6 号 p. 531-538

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抄録

再生不良性貧血委員会で追跡調査している1988~2000年診断の特発性再生不良性貧血760症例の臨床症状と予後について述べた.年間新規診断症例は45~82例で, 重症例はそのうち53%であった.診断時染色体分析は近年80%以上の症例に実施され, 1994年以降診断の9例 (分析実施症例数336) で診断時染色体異常が報告されている.1994年以降に診断された最重症・重症例の予後 (KM生存率86.7±5.3, 87.5±3.8%) はそれ以前の症例に比べて改善したが, 中等症・軽症症例の予後改善は明らかではなかった.軽症例では診断5年以降の死亡が改善すべき問題点である.HLA一致兄弟間骨髄移植の予後は良好であり, 1994年以降では非血縁者間骨髄移植も診断後2年以内に行われた症例の予後は良好であった (KM生存率86.4±6.3%).1994年以降骨髄異形成症侯群 (MDS) 白血病移行症例は減少しているが, 毎年1例ほどの報告がある.全例登録と追跡を今後も行い, 稀少疾患研究の共通プラットホームとして臨床治療研究への協力や, 学会会員・患者・家族への情報提供などの分野において活発に活動すべきであろう.

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