2004 年 18 巻 6 号 p. 618-622
中枢神経病変を伴う血球貪食症候群 (HPS) の治療後に同種骨髄移植 (BMT) を施行したT細胞型急性リンパ性白血病の女児例を報告した.患者は再寛解導入相後に発熱, 汎血球減少, 紅斑を発症し, 骨髄検査で貪食細胞が散見され, HPSと診断した.DexamethasoneとVP-16を投与しいったん軽快したが, 全身の水疱疹とともに再燃した.皮疹から水痘帯状疱疹ウイルス (VZV) が検出され, VZVによるウイルス関連HPSと診断した.Aciclovirの投与後改善したが, 中枢神経症状とともに再燃し, 再治療を要した.CT, MRIでは中枢神経に多発性の病変を認めた.頭蓋照射を行わずにBMTを施行後, 7年間完全寛解を維持している.免疫不全者ではVZVは典型的な皮疹を呈さないこともあり, 留意すべきである.MRIは白質脳症とHPSとの鑑別に有用かもしれない.