日本小児血液学会雑誌
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マイコプラズマ感染後に発症した一過性血液凝固障害の1例
林 寛子青柳 憲幸芳山 恵中山 京子神波 信次吉川 徳茂
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2005 年 19 巻 1 号 p. 30-34

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抄録

小児の後天性血液凝固障害の発症は非常にまれとされている.今回, マイコプラズマ感染の関与が示唆されたので報告する.症例は5歳女児, 下肢の出血斑と右膝関節痛で発症した.血液検査にて血小板数正常, PT, APTTは, いずれも著明に延長していた.第II因子活性 (以下FII : C) 5.1%, FVIII : C5.6%, FIX : C7.8%と低値で, FVIIIインヒビターが2.0 Bethesda U/mlと検出された.1 : 1の正常血漿の添加によるmixing testではAPTTは改善せず, 血液凝固インヒビターによる血液凝固障害と診断した.無治療経過観察にて軽快し, 発症約4週後にPT・APTTは正常化した.以後再燃は認めていない.本例ではマイコプラズマ抗体が1,280倍と上昇していた.また一過性に低補体血症や免疫複合体の上昇があり, カルジオリピン抗体が出現したことより, マイコプラズマに対する異常な免疫応答が一過性血液凝固障害を引き起こしたと考えられた.

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