病理組織学的, 免疫学的に診断された縦隔T細胞性悪性リンパ腫の9症例を経験した.8例がdiffuse lymphoblastic lymphomaで1例がdiffuse large-cell lymphomaであった.表在性リンパ節腫大のない3例にはそれぞれ胸腺右葉摘出, 胸腺全摘出, 胸腺部分切除が行われ, 摘出標本の組織診断後に化学療法が施行された.胸腺右葉摘出と胸腺全摘出の2例はdisease-freeで6年以上生存中である.胸腺部分切除を行った残りの1例は死亡した.頸部リンパ節腫大のあった6例のうち5例は頸部リンパ節生検により診断された後に化学療法が行われ, 2例死亡し3例は治療中である.頸部リンパ節腫大のあった残りの1例は前縦隔腫瘍の摘出手術を受けたが部分切除しかできず, 術後にご化学療法を受けたが死亡した.頸部リンパ節腫大を伴った前縦隔腫瘍例には頸部リンパ節生検を施行することが最も安全で確実な縦隔悪性リンパ腫の診断方法であり, 上大静脈症候群を有する症例では確診を得ずとも化学療法を先行させることが重要であると考えられた.