日本小児血液学会雑誌
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Transient pure red cell aplasiaにて発症しその後好中球減少症・血小板減少症をきたした2小児例
横林 文子小林 嘉一郎守田 哲朗大倉 貢横谷 幸男佐々木 富佐子
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1988 年 2 巻 2 号 p. 201-208

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抄録

Transient pure red cell aplasiaにて発症し, その後, 全骨髄抑制をきたした2小児例について報告する.症例1は5歳男子で発熱・出血斑・鼻出血を主訴に来院, 末梢血液で軽度の白血球減少・血小板減少を, 骨髄で著明な赤芽球系低形成と大型前赤芽球様細胞を認め, BFU-Eは著明に低下していた.その後骨髄は全血球成分とも低形成状態となったが約2ヵ月の自然経過にて回復した.症例2は9歳女子で同様の主訴にて来院.白血球数は960/μlと著減, 血小板も5.0×104/μlであった.骨髄では赤芽球系は見あたらず, M : E比は算出不能であった.症例1と同様に骨髄に大型前赤芽球様細胞の出現をみた.症例1ではEBウイルスの, 症例2ではRSウイルス抗体の有意な上昇を認め, 以上よりウイルス感染により発症したtransient pure red cell aplasia と診断した.

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