日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
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造血幹細胞の増殖・分化と造血因子
西平 浩一
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1988 年 2 巻 4 号 p. 317-324

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抄録

分子生物学の進歩によりrecombinant造血因子およびinterleukin (IL) が大量に生産されるようになった.すなわち, GM-CSF, G-CSF, M-CSF, erythropoietin, IL-3, IL-4, I-5, IL-6 である.これらの因子は造血調節の研究に有用であり, 臨床的にもきわめて有望な成績が得られていることについて概説した.すなわち, GM-CSF, G-CSFは骨髄移植後の骨髄無形成の期間を短縮し, erythropoietin を腎性貧血患者に投与すると, ヘマトクリット値が上昇し, 輸血を必要としなくなっている.IL-3, IL-4, IL-5, IL-6 もin vitro では幹細胞コロニー形成作用であるが, in vivoでの作用は明らかでない.今後interleukinのin vivo における造血調節の役割についての検討が必要である.

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